建築を設計するということは、単に建物をつくるための計画をし監理するという範疇を指し示すだけのものではなく、それ以外の形としてとらえることができない背景にも重要性があると考えています。すなわち人々の活動や生活の場を合理的に安全に造ることであり、文化や自然、そして人々の期待を含んで創られるものであります。 建築は現在(いま)を充足し、時代(いま)を表現します。また現況(いま)を変質させるということを意味し、環境全般に及ぶ行為であり生活に関わるあらゆる現象に対して注意深く考えるべき一種の思想として捉えております。そして私達は変動する環境・時代の流れの中にあって、過去と未来をつなぐ設計という抽象的な行為の中で必然性を指標としながら日々、いかに具現化（全ての内容を「形」として集約）する事ができるかというデザインの可能性と有効性を主眼において活動しています。そして、私たちの活動は機能と形の間にあって、その振幅によって生まれるものと考えており、常にその間において考え続けることを大切にしています。 私たちは常に二つの旅の中にあります。一つの旅はその場（プロジェクト）において限られた時間／状況の中での固有の解を導き出し、その状況において最大限の可能性を提案し続ける旅であり、更に遠くへ続くもう一つの旅はプロジェクトを超えて、果てることのない普遍の真理を追究する旅です。その両者は依然として続いていくことですが、いつしかその両者の振幅がその外側にあるものへと広がっていくことを願っています。